日本全土で重荷をシェアするべき

沖縄の負担を見るツアー

今回は、3度目の沖縄への旅でした。
いつかは沖縄に移住したいと長年夢見てきました。紺碧の空と海、沖縄三味線の奏でる民謡、美しいハイビスカスやサトウキビ畑の風情、沖縄の人々の明るさ温かさ。いろんなものに憧れ、癒されたかったのでしょう。
勿論、前回訪れた時は南部戦跡巡りをして、沖縄戦の悲惨さを噛みしめました。でも、あの沖縄戦で本土を恨むこともなく、温かく接してくださる沖縄の人々に感動。基地のことなど、ほぼ念頭にもなく、「沖縄大好き!」とだけ思い続けてきた自分が恥ずかしいです。
沖縄戦が過去の負の歴史だとすれば、基地問題は現在進行形の負の現実。
近現代の日本史をとりわけ軽視する日本の歴史教育にも憤りを禁じ得ません。ポツダム宣言受諾までで日本史の授業は終了。これからを生きていく若者に、戦後からの歴史をこそ強調して教えるべきかと。でないと、今の政治に対しても、興味や関心、ましてや一社会人としての自覚も湧いてきません。
知らなかった「沖縄の真実」を今回学びました。長くなりますが、どうか読んでいただけたらm(_ _)m
最初に訪れたのが、キャンプキンザーとキャンプフォスター。キンザー、フォスターとは、あの沖縄戦で功績を挙げた軍人名らしいです。キャンプとは基地の意味です。他にも山ほどの基地がありますが、それらの基地名もやはり軍人名とか。
勿論中には入れず、写真を撮ろうとしたら、日本人の守衛?のような人に「ダメダメ」と追い払われました。米兵は土日を謳歌、私服で自由に外に出ているのに、何だか不快に思いました。
すぐ近くに米軍関係者の居住区がありました(基地の中にもかなり立派な住宅施設があり、米兵とその家族が住んでいます)。その居住区ですが、家賃光熱費土地代を筆頭にあらゆるものが私たちの税金で賄われています。勿論米兵の給料はアメリカから出ているわけですが、例えば彼らがエアコンを年中つけっぱなしでも、それはタダ。日本が払っています。
そして何より驚いたのは、ここに住んでいる人々は、アメリカ政府には把握されていますが、日本政府は何ら把握していないということ。愕然でした。
更に驚愕の事実。
3回も沖縄を訪れながら気づかなかった車のナンバープレート。日本のひらがなに当たる部分が「Y」となっている、そんな車を沢山見ました。事実、居住区に停めてある車は全てYナンバーでした。これは在日米軍の乗る車に付けられるナンバーらしいです。
もしこのYナンバーが事故を起こしたら、日本の警察も米軍も検証に立ち合いますが、その事故が公務中だった場合加害者米兵の身柄は米軍に、日本側は関知できません。そして被害者に対して、アメリカは勿論日本さえも責任を取らないのです。
結果日本の被害者は泣き寝入りすることが多いとか。
また、沖縄入りする飛行機が時に遅れるのは、米軍の飛行訓練の邪魔になる場合「迂回せよ」との指令が出るかららしいです。
本当に憤ろしい想いになりますが気を取り直し、冷静に下地さんのお話を聞くことにしました。
「これは、米軍や米兵が悪いのではない。現に仲の良いアメリカ人もいる。」と。
つまり、日米地位協定という「不平等条約」を容認したのは他ならぬ日本政府。アメリカに対して安全保障の名の下に様々な理不尽を許してしまった日本政府に問題があるのではないでしょうか?
そして、それを今日まで知りもせず調べもせず、安穏と沖縄に遊びに来ていた本土の私たちにも責任はないでしょうか?
三番目に見学したのが嘉手納基地。ここは道の駅かでなから全貌を見渡せます。圧倒的な広さです。嘉手納町より嘉手納基地の方が面積が広いということから想像してもらえるのではないでしょうか?
中には全ての施設が揃っています。学校、映画館、その他あらゆるものがあります。米兵は基地の中では訓練だけをしているものだとイメージしていましたがとんでもない。基地の中で全て事足りる生活をしているらしいのです。休日には平然と基地の外へ出て来ていますが。
沖縄は基地があるから潤うというのも大変な間違いだそうで、返還された後の方が経済効果が顕著に上がっているのが事実だそうです。
最後に、有名な普天間基地を見学しました。近くの高台の公園から全貌を見渡しました。
土曜とあって、あのオスプレイが蜘蛛のように整然と並んで停まっていました。
普天間基地のすぐ側には、日本の住宅地初め小学校その他がギリギリで隣接しています。
世界一危険な飛行場と言わしめる理由に納得しました。
このすぐ近くの沖縄国際大学に米軍機が墜落したのは記憶に新しいですが、危険さの証左に他なりません。
当時グアムへ移転する予定で返還すると約束したアメリカを止めたのは日本政府です。そして、その代わりに辺野古、高江を差し出したのです。
なぜ沖縄ばかりなんでしょう???
世論的に、「沖縄から基地がなくなったらどうなる?アメリカに守ってもらってるのに。」というものがあるようですが、おかしくないですか?
日本の安全保障に米軍基地が必要ならば、なぜ沖縄だけにその負担を強いるのですか?
日本の米軍基地の75パーセントもある沖縄が、日々どれだけの不条理を諦観と寛容で受け止めているか。
下地さんの言葉が痛切に刺さりました。
「沖縄は、全基地を返還して欲しいとは言ってないし、国防のため基地がどうしても必要ならば、これからも沖縄はそれを担う覚悟と誇りを持ってますよ。ただ、返してくれると約束した普天間は返して欲しいし、これ以上基地を作って欲しくない。その二つだけです。願いはそれだけ」と。
そして、これ以上基地が欲しいなら、どうしても必要なら、日本の他の県でシェアして欲しい。同じ日本人なら負担も平等にしてもらいたい。
そう穏やかに力説されました。
全く仰せの通りと思いました。
(私としては、官邸前に基地を造ればどうかと思いました。総理大臣は、日々米軍の訓練の様子が視察できるので何よりのことかと)
さて。
様々な基地を見学させてもらい、そこで下地さんに愚問?をした私。
「沖縄の中にアメリカがあるって感じですね。」と。
すると、しばらく間を置いて。。。
「いや。反対ですよ。私たちは、アメリカの中に沖縄があると思っています。私は、アメリカの51番目の州が沖縄だと言われる方が腑に落ちますよ。」と。
長年、「沖縄には基地があるんだな〜」程度の認識で生きてきた私。目から鱗でした。
本土の人間は皆大なり小なり同じではないでしょうか?
沖縄の人がここまでの想いで生きておられることを微塵も知らなかった。。。。
少なくとも、私はショックで言葉もありませんでした。
最後に。
日米地位協定という不平等条約の理不尽を受け入れて生きている「沖縄の人々の真実」を何も知らずに今日まできた己の無知無学が恥ずかしく情けなく、沖縄の人々に謝りたい気持ちでいっぱいです。
最終的には、この地球上から戦争と軍隊を無くすのが夢です。日本の自衛隊は自衛のためにのみ、そして事実上レスキュー隊として存続してくれて。。。それが依然夢です。
だから、国防が本当に要るのかと言えば、正直私はわからないです。
しかし、国防というものに飽くまで日本がこだわるならば、沖縄だけに多くの負担を強いるのは絶対に理不尽です。日本全土でその重荷を背負いシェアするべきです。
沖縄の背負う基地問題。その負の問題を、改めて知り改めて一から考え直してみませんか?
(K.Y.様 奈良県 女性)