「自分事」として考える場になりました。

沖縄戦、その始まりから終わりまでを見るツアー

今回はGさんに誘われて参加したのですが、ツアー内容をきいて、誘ってもらった直後に「行きたい!」と返事をしました。
それは、10数年前に沖縄で社会福祉関係者が集まる会議に参加し、その時の印象が非常に強かったためです。その際、地元の方の発表の多くに「戦争があった地であること」が感じられ、非常に驚くと同時にショックを受けたのです。
第2次世界大戦のことというのは、私たちにとってはもう遠い歴史上の出来事になっていますが、沖縄の人にとっては全然遠い話ではなく、今に直接つながっている。
私たちと違い、歌や踊りが生活の中にあることも、戦争があった地であることとつながっている、そう感じたのです。
日本で唯一、沖縄は地上戦があった場所であることは知っていました。
ただ、それがどういうことなのかというのは全然わかっていなかった、と思ったのです。
今回のツアーでは、他人事としてではなく「自分事」として考えることを、自分なりのテーマにしていました。
1日目、チビチリガマとシムクガマに行きましたが、そこはまさに「自分事」として考える場になりました。
もし、私がその場にいたら、どうしていただろう。
親が子を殺し、先生が生徒を殺す。
本来なら守るべき者の命を自らが絶つという行動に出た人は、きっと責任感が強い人だったに違いない、と思いました。
それが、その時の日本軍の考え方・教育だったし、「鬼畜米英」に渡すぐらいなら自分たちで、という思考になったのも理解できます。
従順で真面目な人、責任感が強い人ならなおさらです。
そこで、考えなければならないと思ったのは、何に対しての「責任感」だったのか、ということです。
本当に大切なものは何なのか、大事にしなければならないことは何なのか。
シムクガマで1000人の命を救った兄弟のことを知りました。
正しい情報の大切さに加え、それをもとに行動する勇気、本当に大事にしなければならないものを大事にするために自分は死ぬかもしれないけれどチャレンジする勇気。
たぶん、集団自決に至るほうが、ある意味自然だったかもしれない流れを変えられる知恵。
今の自分のままでは、私はチビチリガマにいた大人になってしまうかもしれない、と感じました。
これだけ情報過多な世の中で、本当に正しい情報を掴めているのか。
大事にしなければならないものを、大事にできているのか。
ただ真面目、責任感が強い、それではだめなんだ、と考えさせられました。
1日目でもう1つ心に残ったのは「鉄血勤皇隊」のことです。
不勉強で、まったく知りませんでした。
中高生年齢の男子が、肉弾となってキャタピラに挟まって戦死していたという事実は衝撃でした。
元知事の大田さんが鉄血勤皇隊の生き残りである、ということも初めて知りました。
一番弱い者たち、小さい者たちが犠牲になる、それが戦争だと思いました。
首里城で、そこに司令部があったことも驚きでした。
そして、それが首里城の観光パンフレットに載っていないということも。
2日目に印象的だったのは南風原壕跡、アブチラガマで真っ暗闇を体験したことです。
その時にはここで看護していたひめゆり学徒のことを想像しました。
行き違いもできないようなあんなに狭い場所で、医薬品も食料も水も足りない、何もない、不潔で、麻酔もない手術の叫びまくる患者の身体を押さえなければならない、そんな環境では、心閉ざさなければやっていけなかったのではないか、そんな風に思いました。
何も感じない、そんな心にしなければ耐えられなかったと思うのです。
そんな時に、心豊かに、傷ついた人、病んだ人に声を掛け、ケアができる人になれるだろうか…。
下地さんからお聴きした話には、初めて知ることがたくさんありました。
とても悲しかったのは、歴史的な経過の中で、沖縄の人が感じていた「日本人になりたい(日本人として認められたい)」という気持ちを踏みにじるようなことをしてきたということです。そして驚いたのは「日本はアメリカになった」という言葉です。アメリカ軍がロープで囲めば、そこから中はアメリカになるんだ、それが安保条約(日米地位協定)であり、制海権も制空権も日本にはないんだ、と。
今の自分の暮らしが根本から変わるような言葉でした。
帰る日、沖縄国際平和研究所に行きました。そこでたまたまですが大田元知事にお会いしてお話をお聞きすることができました。
いつもの生活に戻ってしまえば、やっぱり沖縄で知ったこと、感じたことはまた遠くになってしまいそうだったので、そこのサポート会員になることにしました。
これからも折に触れ、沖縄のことから学んでいきたいと思っています。
記録を残すこと、検証すること、その大切さは私たちの日ごろの仕事にも通じます。
正しい選択をするために学び続けること、それも続けなければと思います。
こうやってまた沖縄のツアーのことを振り返ることで、日々、大事にすべきと考えていたことが蘇ってきました。
今回の旅は、思い出すたびに生きていく上で大事にすべきことを思い起こさせてくれる旅になったと思います。
ありがとうございました。
(S.様 京都府 女性)